小豆研ぎ婆
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小豆研ぎ婆
河原でワッパに入った小豆を研(と)いでいる老婆の妖怪だという。
水木しげるの描いたものにもある。
何とも、おどろおどろしい感じだが、
「幽霊の正体見たり 枯れ尾花」
という言葉の如く、これにも正体がある。
イタチなどの狢(むじな)系の動物のしっぽから、
小豆を研ぐような音が出るそうだ。
疑心暗鬼を生じるところから、このような妖怪伝説が生まれたようだ。
栃木県佐野市の龍江院というお寺に、
「貨狄(かてき)様」と呼ばれる木像があった。
近隣ではこの木像は、
夜な夜なムジナに化けて不気味な歌を歌いながら
あたりを徘徊する「小豆研ぎ婆」といわれたという伝説が残っている。
実際のところ、この像はかなり由緒正しき像。
かの三浦按針(みうらあんじん=ウィリアム・アダムス) が
豊後に漂流した時のオランダ船リーフデ号の
舳先につけられていた装飾像だった。
それも、かの"エラスムス"を象(かたど)った立像だった。
エラスムスと言えば、『痴愚神礼賛(ちぐしんらいさん)』を著した宗教改革者。
その像が、日本の、
それも、海とはかなり隔たった栃木県の寺院にあり、
キリシタン禁止令が施行されていた間も
祀(まつ)りの対象となっていた。
当のエラスムス自身もこればかりは驚きに違いない。
エラスムスの隠れたもう一面は、ワインの愛好家。
彼が愛好したワインは、
ボジョレー・ワインともいわれる。
その、ボジョレ・ヌーボーの最大の輸入国は日本。
像に限らず、浅からぬ因縁がありそうだ。
ボジョレヌーボーの解禁日、今年は11月15日。
すなわち今週の木曜日。
『痴愚神礼賛』ならずや、この日ばかりは、『ワイン礼賛』。
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